【パールちゃんと学ぶ真珠の知識】 の記事

パールちゃんもワタちゃんも夏の間は窓の見張り番をしながらのんびりと過ごしてきましたが、

 

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少し涼しくなったらまた頑張ろうねと約束していたので、そろそろ真珠講座を再開することにしましょうね。

 

「はい」

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今回はハーフパールについてお話しますね。

先日リニューアルオープンしたジェイパールのオンラインショップでも、良くご覧いただいている方はハーフパールという言葉を目にされているかと思います。

 

ハーフパールというのは、真円の真珠をカットして半球状にしたもので、ヴィクトリア時代を中心としたアンティークジュエリーで見ることが出来るものです。

ずっと幻の技法と言われていて、なぜこんな手間のかかることをしていたのか、どうやってカットしていたのかも正確にはわからないようです。

余りにも高価だった天然の真珠を半分にすることで数を増やしたとか、真珠の綺麗な面だけをとったとか、諸説あるようです。

私もアンティークのジュエリーを見るたびに、ハーフパールの素材に憧れていたのですが、どうやら切実な思いが通じたらしく数年前にやっと手にすることが出来ました。

 

こんな真珠です。とてもとても小さいです。

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ジェイパールで使用しているハーフパールはアコヤ真珠の1.3mmから2.0mmのシードパールを半球状にカットしたものですが、0.1mmの単位で、サイズや形や色や高さを調整しながら、慎重にセッティングをしてジュエリーに仕上げます。

 

こちらはハーフパールだからこそ出来たパールのフルエタニティのリングです。

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 ノワイユフルエタニティリング R-14アコヤハーフパール

 

パールなのにこの薄さです。

この薄さがハーフパールの真骨頂で、まるでレースのように肌に寄り添って、フルエタニティにしても、出っ張りがなく、指と指の間にも違和感がありません。

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ちなみに、ハーフパールと共にスタートしたタペストリーのシリーズでは、全てにハーフパールを使用しています。

個人的に気に入りすぎて、ライフワークのつもりで取り組んでいますが、真珠が希少過ぎるので、ハーフパールが手に入る限りゆっくりとゆっくりと進める予定です。

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他にも、ハーフパールを大切に使ってデザインしたジュエリーをジェイパールオンラインショップでご覧いただけますので、よろしかったらのぞいてみてくださいね。


 今日は少し薄曇りのお天気ですね。

前回まで色々な母貝の違いによる真珠の種類についてざっとお話しました。

今日からは、真珠に関した言葉で、よく耳にするけれど、正確には意味を知らないかもしれない、用語についてお話ししたいと思います。

 

今日はシードパールについて、です。

パールちゃんもルイちゃんも神妙な様子でしっかりスタンバイ出来ました。

 

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シードパールという言葉は、主にアンティークのジュエリーに使われる言葉ですが、アンティークジュエリーですと、1㎜にも満たない天然の真珠を指す言葉になります。

特にイギリスのヴィクトリアンの時代(ヴィクトリア女王が即位していた1837年から1901年までの時代を指します)に流行したパリュールと呼ばれるとても細かな細工のセットジュエリーなどに用いられることが多かったようです。

もちろん天然の真珠しかなかった頃ですから、大変希少な素材でした。

当時のシードパールはインドなどで主に採取されて、ヨーロッパに運ばれていましたので、貝の種類までは特定できないようです。

 

現代では、日本真珠振興会によると、天然、小粒の無核真珠のことで、海水産、淡水産を問わず、2mm以下のものを指す、との定義があるようです。最近、ネットでもシードパールが沢山目に留まるようになりましたが、アンティーク以外では淡水真珠の小粒のものがほとんどのようです。

 

小粒の真珠が多いジェイパールの中でも別格に扱われる、シードパール中のシードパール、とでも言うものがあります。

私がこの特別な真珠に出会ったのは、やはり10年ぐらい前のことです。

長くお付き合いをしている真珠の卸し業者さんが、手に入れたものの加工できることろがないんですよ、と、半ば持て余していた、1mmにも満たない砂のように小さな真珠の束。

正確にはアコヤ真珠の砂ケシ(*ケシとは無核真珠のことです。)と呼ばれるものでした。

この砂ケシもアコヤ真珠の養殖の過程で偶然に出来るものだそうですが、一つの貝に数粒しか見つからず、しかも大きさを揃えたり、穴を開けたりという気の遠くなる作業を考えると、あまりにも手間がかかるのでほとんど集まらないとのことです。

大変高価なもので悩んだのですが、余りの美しさに心を奪われてしまったようで、どうしても諦めきれず、運命だと思って迎え入れることにしました。

おかげで、ポワン ド ネージュ(雪の刺繍)というロマンチックなタイトルのジェイパールの中でも特別に思い入れのあるシリーズを作ることになりました。

 

 希少なシードパールへのオマージュとして作っているので、繊細で実用的とは言えないジュエリーなのですが、そんなところさえ愛しいと大切に思ってくださる優しい方が沢山いて、人気のシリーズになっています。

 

ポワン ド ネージュ フルエタニティリング R-01

リング

着けるとこんなに繊細です。

ポワン ド ネージュ リング

 

ポワン ド ネージュ N-02 3連ネックレス

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ポワン ド ネージュの中で一番ボリュームのある30連のネックレス。

ポワンド ネージュ N-05 30連ネックレス

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シードパール

 

目を見張るような細やかさですので、是非、代官山店で実物をご覧になってみてくださいね。

 

重要ですので、ご購入の前にご確認ください。

*シードパールネックレスのご使用上の注意

下記のような紐状のものを好む猫の居るご家庭ですと、自宅で着用しようとするだけで、狙われること間違いありませんので、くれぐれも御注意ください!

 

 近くにあるだけでとても危険です!

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油断していると、

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必ずこうなります。

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じゃあ、今日は黒真珠のお話にしましょうね。

(見本の真珠をオモチャにしたり、食べたりしてはいけないそうです)

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(見ると絶対食べそうになるので、我慢我慢。)

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黒真珠というのはクロチョウ貝(黒蝶貝)という貝から採れる黒い真珠のことで黒蝶真珠とも言います。

クロチョウ貝は暖かい海を好む10cmから20㎝ぐらいの大きさの貝で、アコヤ貝よりは大きく、シロチョウ貝よりは小さな貝です。市場に出ている黒蝶貝真珠の90パーセントは仏領ポリネシアのタヒチ産ですので、通称でタヒチとも呼ばれます。

余り知られてないようですが、黒蝶真珠も沖縄の石垣島で世界で初めて、苦労に苦労を重ねて養殖に成功したという歴史があるのですが、現在、沖縄産は流通量の約1パーセントにも満たないぐらいだそうです。何だか切ないですね。

 

(切ないです。)

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(切なすぎるわ。)ワタちゃんです。

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養殖の歴史もまだ浅く、沖縄で成功したのも、ポリネシアで日本人の技術者が養殖を成功させたのも、昭和30年代のことですので、まだ50年ぐらいなんですね。

それ以前の黒蝶真珠は全て、天然の真珠ですが、40万個の貝から1個の割合ぐらいしか採れないので、幻の真珠と言われていたそうです。

色は黒といっても、複雑な干渉色で、ピーコックグリーンと呼ばれる、クジャクの羽のような色が有名です。

 

本来は黒真珠とは黒蝶真珠を指したのですが、

現在、黒真珠と言われている中にはクロチョウ貝から採れる自然に黒い真珠と、アコヤ真珠や淡水真珠を黒く染めた真珠があります。

 

左は黒蝶真珠、右は大きな淡水真珠を黒く染めたもの。

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もっともっと話したいことがあるのですが、どうやら、真珠に危険が迫っているので今日はこの辺までで。

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 今日は、南洋真珠のお話です。

(難しそうだから逃亡したいな。)

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(高いところに上っても、目が合うなぁ。)

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 南洋真珠は、シロチョウ貝という、30㎝近くにもなる大きな貝から作られる真珠で、オーストラリア、インドネシア、フィリピンで作られています。シロチョウ貝は、高級なシャツやブラウスの貝ボタンにも使われている艶々した綺麗な白い貝で、実は目に馴染みのあるものです。

 

南洋真珠の特徴は、何といってもその大きさですが、10㎜から15㎜ぐらいで一般的です。

大きいものになると、26㎜などというものまであります。色は大きく分けるとホワイトからシルバー系のものと、イエローからゴールド系のものがありますが、オーストラリア産はシルバー系が多く、フィリピン産はゴールド系が多いようです。

 

ちなみに、三重県出身のレスリングの吉田選手が国民栄誉賞を受けた時の記念品として13㎜の金色の真珠が話題になりましたが、南洋真珠だったそうです。

 和珠のアコヤ真珠からもナチュラルなゴールドが多少出来るはずなので、どうして和珠にしなかったのかな、と思って調べたら、なんと一般的にアコヤ真珠はホワイト系が好まれるためにゴールド系が出来ないようにする技術革新がされたらしく、現在ではほとんどできなくなってしまったそうです。

美意識は、時代と共に変わっていくものだと思うので、現代の市場の価値観だけでいいのか胸の痛むところです。

実は、20年ほど前に気に入って手に入れたアコヤ真珠のゴールデンのナチュラルをまだいくつか手元に持っているのですが、いずれ大切にデザインしたいと思っています。

 

南洋真珠ですと、ジェイパールではとても綺麗な南洋のケシを使ったシリーズを作っています。

ナチュラルなシルバーカラーでぽってりした愛らしい形の南洋ケシ。

南洋ケシ

 南洋ケシネックレス N-01 

 ケシとは、従来は芥子粒のように小さな真珠のことを呼んでいましたが、今は、養殖真珠の生成過程で貝に偶然、砂などの異物が入り込み、自然に出来る無核真珠のことを言います。小さなものから大きなものまであります。貝の種類によって、南洋ケシ、黒蝶ケシ、アコヤケシ、淡水ケシなどと呼びます。

ケシは敢えて作ったものではなく、偶然の産物ですので天然真珠だという考え方と、養殖真珠を作っている過程で出来るものなので養殖真珠だという考え方があるようですが、どちらにしろ、大変、希少なもので、まったく同じ形というものがなく、 一つずつが個性豊かで、とても魅力的なものです。ケシ真珠も奥の深いものですので、別の時に改めて、お話しますね。

 

ひとつづつが個性豊かな南洋のケシ真珠。生産量は南洋真珠全体の0.5パーセントにも満たないそうです。

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(何だか上手く隠れられた気がする。)

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最近出番が少ないとワタちゃんからクレームがあったので、今日はワタちゃんの凛としたショットからです。

昼間はずっと寝ていて気だるいイメージですが、夜になるとワタちゃんは誰よりもやる気満々です。

(ちゃっかりパールちゃんも後ろの方にいますね)

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今日は、養殖真珠の中の淡水真珠の話です。

 1995年にジェイパールを始めて以来、色や形が豊富で手に入りやすく、デザインのバリエーションが広がる淡水真珠にはとてもお世話になってきました。もし、養殖の技術が進化して、気軽に手に入るようになった淡水真珠がなかったら、普段のアクセサリー感覚で本物のパールが沢山の方に使っていただけるという、現在の状況はなかったと思います。

その頃すでに流通している淡水真珠はほとんど中国産でしたが、実は淡水真珠も80年ほど前に日本の琵琶湖で養殖が始まり、ビワパールと呼ばれて一時は、とても高価な貴重なものとされていました。

 

淡水真珠は、海水産の真珠と違って、ほとんどが真円の核を入れずに養殖をするので、色々な形があることと、一つの貝から複数の真珠が採れること、特有のナチュラルなピンクやパープルなど豊富なカラーがあることが大きな特徴です。

 

色々な淡水真珠。それぞれの形から、ボタン、ポテト、ライスなどの名称があります。円形の大きなものには湖水真珠と呼ばれるとても高価なものもあります。

淡水

 

そんな淡水真珠ですが、忘れもしない10年ほど前のこと。ほぼ流通していなかった2mm以下のとても小さな淡水真珠が手に入るようになり、余りの可愛らしさに作ったのがペパン(フランス語で種の意味)というシリーズです。そこから極小の真珠の魅力にどんどんはまっていくことになったのです。

 

ジェイパールのロングセラー。初めて作ってから10年ほど経ちますが、実は全商品の中で一番人気のペパンシリーズです。

一番最初に作ったペパンN-01のネックレス。細い小アズキのk18のチェーンの間にステーションに入れた小さなパールが愛らしいのです。

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着けるとこの大きさです。

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人気を2分するペパンN-12のネックレスです。小さな真珠をk18の金線を使ったシャンクでつないだものですが、シャンクがチェーンの美しさを決める要ですので、お客様のものを作るようになるまで、ジェイパールのスタッフが最初に延々と練習する技術です。おかげさまで綺麗なシャンクには定評があります。

ペパンネック

 

人気の理由は、単独で着けてもどんなペンダントヘッドを合わせても、上品で愛らしい、くせのない佇まいだと思います。

(ペパンネックレスのトップに付けているのは、同じく、小さな淡水パールを使ったシャンドウフレーズのペンダントヘッドです。)

ペパン 着用

真珠のためにこれからデザインしていく、と決めたのも、ペパンを作り始めた頃からでした。

 

 おととしぐらいから、中国の諸事情などにより、極小の淡水真珠の価格が高騰し、手に入りづらくなってしまいました。

小さな真珠を中心にデザインしているジェイパールとしては大打撃のようですが、所詮、自然のものですから、無秩序な乱獲はやめて、適正な価格で、少しずつ、感謝しながら、大切に扱うべきだと感じていたので、内心何故かほっとしました。素材がある限り大切に続けますが、無尽蔵にあるわけではないことを肝に銘じて作っています。

 

淡水真珠でも2mm以下の極小のものはシードパールと呼ばれますが、シードパールについては、改めて、熱く語りたいと思いますので、今日はここまで。

 

思ったより疲れるわね。

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