【アコヤ真珠の選び方】 の記事

前回、アコヤ真珠の照りと色についてお話させていただきましたが、

世の中で販売されているほとんどのアコヤ真珠は、貝から採取されたままの状態ではありません。

ほとんどの真珠には、有機物や不純物が混じっているので、その除去のためにシミ抜きと漂白という処理がなされています。

浜揚げの段階で、まったく加工を必要としない真珠は全体の0.5パーセント程度だそうです。

漂白をすると、ほんのわずかに本来の真珠の色と照りが落ちてしまいますので、

調色といって、元の状態に戻すことと、色を均一に整える作業がされています。

この、漂白から軽度の調色の加工は、国際的にも表示の必要がないとされていて、

明白な表示の必要な人工的な着色とは区別されているもので、

日本が養殖真珠と共に、100年もの間培ってきた、真珠の本来の美しさを引き出すとても大切な技術です。

 

ですが、時代の流れで、より自然なものを求めるという傾向もあって、最近、アコヤ真珠の無調色と表記された商品を見かけるようになりました。

これは、シミ抜きと漂白の工程の後の調色を施していないものですが、調色をしていないものだと、少し照りがぼんやりしていたり、

温かなピンク味が少ないものが多いので、なかなかこれと思うものに出会わないのですが、

たまに、とても魅力的な無調色のアコヤ真珠に出会うことがあります。

 

 

最近出会ったとても美しい無調色のアコヤ真珠のバロックです。

無調色のバロック

 

越し物らしい、深みのある独特なナチュラルな色と照りで、バロックパールの自然な形と相まって、一目ぼれの素材です。

きりりとして、洗練されたスタイリッシュな大人の女性にとても似合いそうです。

 

ロングネックレスに組んでみました。

無調色のバロック

 

少ない素材なので、何を作るかとても悩ましいところですが、

このところの猛暑で、お店に出る日以外はほぼアトリエに引きこもっていますので、

秋にはまとめて新作のご紹介が出来るかなと思います。

 


長くジェイパールのジュエリーをご愛用いただいてるお客様から、アコヤ真珠の選び方についてご相談をいただくことがとても多くなりました。

特にハレの日に身に着ける一生ものとして、いつものジュエリー選びとは少し違った意味合いがあるものです。

真珠の品質や、大きさや、長さなど、色々なご相談を受けますが、

今日は、何といってもアコヤ真珠の一番の特徴である照りと色のことを少し。

奥が深くて複雑なので、さわりだけですが。

 

照りとは、ただの表面上の光沢のことではなく、0.3ミクロンほどの薄い結晶が何百、何千と重なって出来た真珠層に光が反射して起きる、真珠の内部からの色を伴った輝きのことです。

照りの美しさは、真珠層の巻きの厚さ、真珠層が均一に重なっているかどうか、表面のくもりがないかなどの要因で変わります。

 

 

右が一番照りの強いものです。照りの良いものだと、自分の顔が写ります。

真珠の照り

 

 

 

次にアコヤ真珠の色ですが、

実体色(ボディカラーとも言います。貝それぞれが出す色素によるものです)

干渉色(真珠層への光の反射による輝きを伴った色のことです)

下地色(ナチュラルブルーといわれるパールは下地色の典型です)

という三つの質の違う色の要素が一つの真珠の中に共存しているとても複雑な色です。

中でも、干渉色と、照りは相互に関連していて、色が濃くなれば輝きも強くなるという特徴があります。

 

 真珠の縁のあたりの色が実体色、ホワイト~クリーム~ゴールドまであります。

中心の輪のように見える部分が干渉色、ピンク~グリーン~ブルーです。

干渉色は虹のように複雑な色なのですが、中心の色の輪郭部分にピンクが出ていればピンク系だと考えてください。

色であって光

 

一つとして同じものがない、真珠の複雑な色を言葉で表現するのはとても難しいので、呼び方も統一されていないようですが、

ジェイパールで、ホワイトピンク系と表記しているものは、実体色がホワイト、干渉色がピンクの強いものです。

 

ホワイトピンク系でも、様々なニュアンスの違いがあります。

真中より右がよりピンクの強いものです。

アコヤ真珠の色

 

 

アコヤ真珠の神秘的な輝く色は、見ていると、本当に飽きることがなくて、どんどん気持ちが浄化されていくような気分になります。

一生を連れ添うアコヤ真珠を選ぶ時は、身に着けて、顔映りの良し悪しを見るのはもちろんですが、

ゆっくりと小さな真珠に自分の顔を写す、緩やかな時間をお持ちいただくと楽しさも一際かと思います。

 

次回は、真珠の調色と無調色についてお話ししますね。